板金塗装とは事故やイタズラ、操作中の不注意により車についた傷やへこみを元通りにする作業です。
通常、板金と呼ばれる作業は損傷を受けた自動車のボディパーツを板金ハンマーと当て板を使ったハンマリングや、強力な吸盤、バキュームカップによる引っ張り、ヒートガンによって温めて膨張する力によって復旧させるなど、多岐多様な方法で行われます。
傷の具合が酷い場合には溶接機や盛ハンダなどを使用する例もあります。
これらは部品を新品に交換するのではなく、現在ある部品を修復していく作業になります。
そのため、一般的に板金といわれる場合、形状修復などの必要はなくても塗装をする為に部品を着脱する行為も板金の一貫としてみられる場合が多く、車の外装修理にかかる塗装以外の工程も板金と呼ばれる場合もあります。
物理的に損傷部分の大まかな補修が終わったあとは、細かな部分が目立たなくなるようパテを盛って、さらに傷が目立たなくなるように形成していきます。
パテが乾いたのち、綺麗に削って塗装の下地処理を行っておきます。
この作業をきちんとすることにより、この後の塗装作業がスムーズいくようになります。
板金作業が終われば次は塗装になります。
塗装は文字通り、修復した部分を元のボディーカラーに塗装する工程を言います。
板金作業によって既存の塗装の部分との差がはっきりとしてしまっているのでこの差が目立たなくなるよ作業していきます。
塗装の順番としては、下塗り、本塗り、クリアの3段階で塗っていきます。
本来のボディーカラーを元に、塗料を調合して塗るのも板金職人の腕の見せ所です。
自動車メーカーの純正のボディーカラーはには、メーカーから指定された色の基本となる塗料をそれぞれどの割合で混ぜればよいかという資料がありますので、その通りに混ぜれば純正の色を作ることは出来ます。
しかし車は紫外線による経年劣化や保存環境などにより、純正通りの色を塗ってしまうと境目が非常に目立ってしまうことが多いです。
一見同じに見える車の色も新車以外は全て違っているといっても過言ではありません。
こうした経年劣化などを配慮しつつ職人の長年の経験による微妙な塗料の配合によって、より自然な塗料ができます。
最後に現車を確認しながら塗装していき仕上げていきます。
実際に塗装を行う場合、ドアなど広範囲に渡る時は補修する部分と既存の部分の塗装の境目にボカシを入れることにより、より目立たない仕上がりを目指します。
最後にクリアを塗って磨き上げることによって塗装したと思えないような自然な仕上がりになります。
板金塗装とは、傷ついた車の外装を直すことと思われがちですが、厳密に言うと車の金属部分の形状を修正して塗装しなおすことが板金塗装といえます。
バンパーなどの樹脂で出来ている部分も板金工場で同じ様な作業で修復できるので、傷がついたら、こすったら板金工場で直してもらおうと、車の修理全般が板金とよばれるようになっています。
板金や塗装の作業は非常に高い技術が必要で専門性の高い作業です。
通常の自動車整備工場に勤務する整備しは一切板金や塗装の作業は行いません。
これは板金は専門の業者が行う作業であり、専用の工場で行うのが普通だからです。
大きな板金塗装の工場になると、板金部門、塗装部門と分かれてそれぞれの過程を専門のスタッフが行うケースもあります。
板金や塗装の修理が完了したのち、まれに長い年月が経過すると塗装された箇所が目立ってくることがあります。
これはどんなに腕の良い職人さんが作業を行っても新車の時に機械によって塗装された部分は塗装が薄く硬いものになっていますが、修理によって塗装された部分はコンプレッサーの吹きつけ作業になってしまうので機械塗りよりも若干厚みが出てしまうためです。
しかしこれは非常にまれなケースで通常は腕の良い職人さんであれば殆ど気になることはありません。
また、物理的な損傷が激しい場合はパーツそのものを交換してしまう場合があります。
例えばバンパーなどはよく交換される部品のひとつです。
交換可能な場所なら板金料金と交換料金を比較して安価な場合は交換を行ったり、精神的に新しい部品を求める依頼人の場合は交換してから塗装を行う場合もあります。
そして、板金塗装の作業には色々な別料金が発生してしまうことがあります。
車種によっては作業を行うために付属品の取外しが必要になり取外しの工賃が必要になったりします。
キャリーやリアのスペアタイヤなど自分で取り外し可能なものでしたら、作業をお願いする前に外しておくのが良いかと思います。
この辺は事前の見積時に相談しておけば支払時にトラブルになることは少ないです。
また、最近では外車についても作業を行ってくれる業者も増えてはきましたが、基本的に作業を断られる場合が多いです。
外車は日本車とは違い、使用している塗料が国産車とは違うので塗装を行った時にその境目が目立ってしまう可能性が高いためです。
また車体が大柄になってしまうので塗装ブース内に入らないのも理由のひとつとして上げられます。
以上のようなことに注意して板金塗装をお願いしましょう。