廃炉作業も難航する福島第一原発

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。
特に巨大な津波が襲った東北地方の太平洋沿岸部では、多数の尊い命が犠牲になりました。
発生から10年近く経過した現在でも、復興は進んでいません。
一部では新しい建物が建ち復興が進んだように見えても、太平洋の沿岸地域では更地のままの場所も多くまだまだ道半ばです。
東日本大震災による被害は、地震の揺れや巨大な津波だけではありません。

福島県の太平洋沿岸部にある福島第一原発の事故

福島県の太平洋沿岸部にある福島第一原発の事故も、被害をさらに大きくさせた要因の一つです。
東日本大震災によって発生した巨大津波は、福島第一原発を襲いました。
その結果放射能が外部に漏れ出してしまい、周辺の環境に与えた影響は深刻です。
現在でも立ち入り禁止区域は広範囲に及んでおり、戻りたくても戻れない住民も多数存在しています。
現在は廃炉が決まりそのための作業が進められていますが、10年近く経過した現在でもまだ先が見えません。
原発の廃炉には数十年かかるといわれていますから、これから先もこの状況が続くと考えられます。
無関係な人からすると、まだまだ先の見えない状況に現場に問題があるのではと思うかもしれません。
ですが実際の作業にあたっている現場では、毎日それぞれの作業員が必死になって任された作業を担当しています。

原子力関連の業務を行う企業

原子力関連の業務を行う企業として、アトックスのように全力で取り組む企業が数多く集結していますから、それぞれを責めるのは間違いでしょう。
毎日さまざまな研究を続けて、廃炉を効率的に進めるための新しい技術や設備の開発も続けています。
このように新しい技術や設備が開発されれば、廃炉作業もこれまでよりスピードアップすると考えられます。
廃炉作業がスピードアップすれば、住民が帰還できるまでの期間も短くなるかもしれません。
また廃炉作業が完了しないことによって、地元である福島県への風評被害が終わらない問題もあります。
福島県はモモやお米などの農作物、さらには海産物など地元産の美味しい食べ物がたくさんある地域です。
東日本大震災が起きる前までは、全国で取引され一部は海外への輸出もされていました。

出荷されている農作物や海産物を食べても健康に悪影響はない

しかし福島第一原発の事故が発生したことにより、安全性に懸念があるとさまざまな方面から心配の声が上がりました。
多くは風評被害のため、出荷されている農作物や海産物を食べても健康に悪影響はありません。
ですが放射能は目に見えないものですし、安全性に関する問題もハッキリしません。
そのため科学的な根拠もないまま危険だとする風評が広まってしまい、生産者には大きなダメージを与える結果になりました。
現在では風評被害も少なくなり、福島県産の農作物や海産物でも受け入れられ始めています。
しかし韓国を始めとする一部の国では、いまだに危険であると決めつけ規制されています。
こうした問題を解決するのは、国が相手国に対し丁寧に説明することが求められるでしょう。

福島第一原発の事故処理を円滑に進め廃炉を一日も早く達成すること

しかし最も大切なことは、福島第一原発の事故処理を円滑に進め廃炉を一日も早く達成することです。
廃炉が完了し周辺の環境にも悪影響が残っていないと科学的な根拠を示せれば、規制をかける理由もなくなり福島県への風評被害もやむでしょう。
いわれなき中傷は差別にも繋がりかねませんから、誰もが安心して生活できるようになるためにも、風評被害の問題は一刻も早く解決しなければいけません。
風評被害に悩まされているのは、福島県の農業や漁業関係者だけではありません。
福島第一原発で廃炉作業にあたっている作業員や企業に対しても、いわれなき中傷が行われてきます。
もし現場の第一線で活躍する人々がいなければ、廃炉作業は一向に進みません。

すべての日本人が当事者意識を持ち科学的な根拠で冷静に判断するのが大切

これでは誰もが安心して暮らせる地域に戻すことも不可能になるので、風評被害ほど無意味なことはありません。
現場の第一線で作業を行う人々がいるからこそ、廃炉を進めるために技術や設備の研究を進める企業があるからこそ、国難ともいえる原発事故の処理も円滑に進められるようになります。
国や福島県に住む人々だけではなく、すべての日本人が当事者意識を持ち科学的な根拠で冷静に判断するのが大切です。
個人的な私情を排して科学的な根拠を元に冷静な判断を下せるようになれば、遅々として進まない廃炉作業もスピードアップするでしょう。
そのためにも国や規制委員会などは、情報をオープンにして地元住民や国民への判断を仰がなければいけません。
東日本大震災によって発生した福島第一原発の事故は、電力会社やその関連企業だけで解決できる問題ではありません。
当事者である電力会社や関連企業が先頭に立ちながらも、国や国民全体で協力することが何よりも大切です。

まとめ

福島県外や東北地方から離れた地域に住んでいると他人事のように思えますが、もし自分たちが住む地域で同じような事故が起きたらと考えながら、冷静に行方を見守り続けなければいけません。