インターネットの普及によって新しいタイプの風評被害が発生

風評被害

インターネットの発達によって世界は変わった

インターネットは開かれた世界です。
元々は閉鎖的な空間であり、一部のユーザーだけが活用するコミュニケーションツールでした。

1990年代はまだ家庭用パソコンが普及し始めた時代です。
家電量販店で見かける事はあっても、まだ一般的な製品ではなく、プロバイダの契約料金は今と比較にならない程高額でした。
そのため、一部の理系の人々やネットに強い関心を寄せる社会人や学生が僅かに使う位でした。

ところが2000年以降になりますとプロバイダの代金も破格の値段になり、パソコン本体の値段も非常に安くなり、そういった理由から一般家庭へ急速に普及していきます。

その後は携帯電話の低価格化やスマートフォンの登場によって、より手軽に参加できる世界になっていきました。
それまではITや機械に詳しい人々が中心だった、掲示板やブログには多くの老若男女が参加するようになります。

いわゆる現実の世間と同じ環境になり、企業や官公庁や大学などの公的な組織も新しいメディアへ積極的に進出しました。
特にネット通販サイトの登場は世間に大きなインパクトを与えます。
お買い物と言えば、当然地元のお店に行く事でした。

ところが通販サイトの普及した結果、携帯電話やパソコンから欲しい物をいつでも取り寄せるようになり、しかも普通に買うよりも安くて便利です。
主婦や女性のユーザーもその影響から積極的にIT機器に触れるようになりました。

パソコンを持たなくても、手元にあるスマートフォンやタブレットがあればいつでもオンライン環境が得られます。

掲示板やSNSなどでリアルタイムのコミュニケーションが実現

デスクトップパソコンの場合は自宅や職場など限られた場所でしか情報が検索できなかったり、意見を投稿出来ませんでしたが、携帯が出来る端末が普及したおかげで、文字通りいつでもどこでも掲示板やSNSへの参加が実現し、リアルタイムのコミュニケーションが実現しました。

今まで世間に向けて広く意見を表明するためには、テレビに出演したりラジオにハガキを送付したり、雑誌に封書を送るなど、敷居が高い方法ばかりでしたが、今現在ではSNSや自分のブログを通して簡単に出来ます。

表現の自由が保障されている日本国内では、基本的に誰に検閲される事もなく、広く世間に向けて率直なメッセージを伝えられ、今まではマスメディアには掲載されなかった素朴な市民の声が、不特定多数の人々に届くようになりました。

日本人は良いも悪いも世間体を大事にします。
そのため本音では思っていても、リアルの世界では言えない事が数多いです。

女性特有の悩みや主婦が抱える疑問、若者が抱える親子関係の問題や身体的なコンプレックスなど、リアルでは相談する事すら難しいテーマも、お互いに顔が分からないSNSユーザー同士だからこそ、ざっくばらんに相談が出来る、そんな良いメリットがネット空間にはあります。

近年問題視されている風評被害について

ただし一方で近年問題視されているのが、風評被害です。

いわゆる雑誌や新聞には編集者がいらっしゃいます。
テレビの場合もディレクターやプロデューサー、そして各分野の専門家が内容を確認したり監修を行います。

そのため、基本的にマスメディアには科学的に正しい情報や裏付けがなされている物だけが厳選されて掲載されていますが、個人のブログやSNSの方は、編集や監修にあたる人が当然いません。

文字通りアマチュアのユーザーの思いや個人的なメッセージがダイレクトに反映されます。
家電製品のレビューやゲームソフトの感想、訪れた飲食店やテーマパークの体験談など、今日のネット上のコミュニティには多数投稿されています。

ほとんどの物が有益で、たとえ内容がネガティブだったとしても、それは事実を表しており、他のユーザーにとっては役立つ情報です。

翻ってごく一部に、明らかなデマを投稿するユーザーがいます。
特定の企業やお店を名指しして、事実ではないネガティブな情報をSNSやブログに投稿し、それを見た他の利用者が更にその悪い評判をコミュニティで拡散させる、といった風評被害が起きています。

メディアリテラシーを持たないユーザーやいたずら目的で噂やデマを故意的に流す人々が増加している

伝言ゲームのように噂が噂を呼び、最初の利用者はいたずら目的で投稿した架空の悪評も、大勢の利用者が拡散する事でまるで本当に起きたように、世間では解釈されるのがリスクです。

言論の自由と表現の自由は大事であり、これが日本の民主主義を支えるものです。
その反面、あまりにも敷居が下がった弊害で、メディアリテラシーを持たないユーザーやいたずら目的で噂やデマを故意的に流す人々が増加しています。

多くの風評被害は個人の勘違いやいたずら目的が原因で起こされていますが、被害を受ける企業や店舗や地域としては一方的に根も葉もないことで批判されるため、本当に怖いトラブルです。

全く身に覚えのない事で自社のブログに罵詈雑言が大量に届いたり、個人のSNSアカウントが炎上する等、一方的にビジネスやプライベートを妨害されるのが、最近のネット型風評被害の恐ろしい点となります。